国際社会コース International Studies Course

教員や学生のさまざまな活動

国際社会コースでの「活動」をご紹介いたします。

2022年2学期から翌2023年1学期にかけ、北欧スウェーデンのイェーテボリ大学に留学してきた福島笑里さん。留学の動機のひとつは気になっていたYoutuber。もちろんそれもありです。出発点は人それぞれ。大切なのは、そこで何を学び取るかということです。

 

福島笑里さん(4年生)
北欧スウェーデンへの留学

 

なぜ、スウェーデン?

私が留学先をスウェーデンに選んだ理由は主にふたつあります。 ひとつ目は私の好きなYoutuber(ふたりぱぱ)がスウェーデン在住だったからです。不純な動機に聞こえそうですが、YouTubeを見ていて、なんとなくスウェーデンに興味を持つようになりました。

ふたつ目の理由はスウェーデンの環境政策の中で生活してみたいと思ったからです。環境政策・環境教育に興味があり、ふたりぱぱが好きだったことも加わって、ゼミで環境政策についての本を読んでいるとスウェーデンの政策が目に留まり、行ってみたいと強く思うようになりました。運よく協定校にイェーテボリ大学があったので、留学を申し込むことを決めました。

 

 

授業 ── 日本のスタイルとは全然違います

時間割と授業形態

時間割のシステムは日本の大学と異なります。授業の進行速度というのがあり(説明は複雑なのでここでは省きます)、私は進行速度が50%のものと25%のものを履修していたので、授業が週に1~3回しかないような時間割でした。100%のものは忙しそうでした。

授業には講義(lecture)の回と、セミナーの回があり、セミナーでは小さいグループでのディスカッションがメインとなります。全ての授業で、予習として文献が出され、特にセミナーの回では読んでおかないとディスカッションができないため、きちんと内容を把握しておく必要がありました。人文学部の試験はレポート形式が多く、レポートの内容も予習に出された文献を元に書くスタイルが多いです。テスト期間中に大変な思いをしないためにも、普段の授業からきちんと文献に目を通し内容をある程度把握しておくのがベター。そうとは分かっていながらも遊んでしまうのが常でしたが。

 

私の勉強スタイル

文献を読むのに、100%英語だけでは内容把握が難しく、内容が分からなければ授業も面白くないため、私は翻訳サイトを活用して文献を読んでいました。初めは英語力を伸ばそうと強気であたり、電子辞書のみを使い文献を読んでいましたが、あまりにも一回の授業で出される文献の量が多く読み切れず、また急いで読んでしまうために内容が頭に入らない、という状態になってしまったため、翻訳サイトに頼り、授業内容重視で取り組むようになりました。

 

面白かった授業

<Scandinavian History>
この歴史の授業ではスカンジナビアのバイキング時代から現代の福祉国家まで幅広く取り上げられました。私の一番の留学の目的は、環境政策やワークライフバランスが整ったスウェーデンで生活してみることであったため、その国にどんな過去があり、どんな過程を経て今の福祉国家と呼ばれる国になったのか学ぶことができて面白かったです。ちなみにブルートゥースの由来はデンマーク王のハラルド・ブルートゥースから来ていて、彼が10世紀ごろデンマーク周辺の国を統一したことから、近くの機材を統一するという意味でブルートゥースと名付けられたそうです。試験は1600語のエッセイを2題、200語での用語説明が4題あるレポートで、題材が出されてから1週間で書き上げるというスタイルでした。

 

<Education for Sustainable development>
環境教育に興味を持ったものの、それに関する授業を受けたことがなかったため、この授業は新鮮でした。オムニバス形式であるため、環境教育を様々な視点から触れられました。理論的な話はもちろんですが、何か私達の感覚に問いかけるような、思い起こさせるような話をするのが印象的でした。試験内容はグループプレゼンテーションとそれを元にした1000語のレポートで、私達のグループは世界の飲み水問題について扱いました。

 

 

 

 

日々の過ごし方

快適な住まい

向こうでは寮に住んでいました。寮といっても私が選んだところは自分の部屋にキッチン、シャワー、トイレがあり、洗濯機だけ共用のためほとんど一人暮らしで快適でした。

 

 

 

休みの日々も充実

授業がない日は、森の中を散歩したり、キノコ狩りしたり、夏は湖で泳いだり、図書館で予習をしたり、日本語コースの授業のお手伝いにいったり、カフェでフィーカしたりしていました。

スウェーデンを代表する文化、フィーカ(fika)はコーヒーとお菓子とともにのんびりお話しすることで、友達づくりに欠かせないものです。「フィーカ行こう」という一言で気軽に遊びに誘え、みんなの中にフィーカは大切な時間という認識があるため、誘うのも誘われるのも気負わないような印象です。

授業の日数が少ないこともあり、せっかくヨーロッパにいるんだから、と旅行もたくさんしました。

 

 

 

長い冬 ── ゆったりした時間

私が留学するうえで何よりも心配していたのが冬の寒さと日照時間の短さでした。到着してすぐの9月中頃から朝晩は寒くなり、10月頃からは本格的に寒くなります。ある程度覚悟はしていたため2月頃までは難なく乗り切れましたが、3月になり日照時間が伸び始めても寒さが緩和されないのは辛かったです。

日照時間の短さは気分が下がるというデメリットしかないように思っていましたが、自分の時間が多くなるというメリットがあると感じました。自分の中に1日の中で暗くなってから本を読んだり、ストレッチしたり、明日のことを考えたりするという夜モードになるスイッチがあるようで、部屋でのんびりと自分に費やす時間が多くとれたことは良かったです。反対に夏では外出する時間が多くなり、一人で過ごす時間が少なくなりました。もちろん友達と外で遊べるのは楽しいですが、自分にとって一人で過ごす夜モード時間も大切だということに気づきました。

(写真は北極圏に遊びに行ったとき。10時くらいから明るくなったと思ったら、3時には真っ暗です)

 

 

 

留学生活で得たこと ── まだまだ狭い私の価値観

スウェーデンで生活することは、文字通り多種多様な人達がいるため、世界の縮小版を見ていることのようです。そのような環境で過ごすといかに私の価値観が狭いかを痛感する出来事が多々ありました。  

 

ひとつ目はジェンダーに関すること。ある日友達がスーパーで貧血を起こして倒れてしまい、救急車を呼ぶことになりました。私の頭の中では、マッチョなお兄さん達が来るのを想像していましたが、結局来たのは女性の救急隊員でした。いかに自分の中にジェンダーステレオタイプが刻まれているのかを知り、ショックを受けた出来事でした。ちなみにキャンパス内のすべてのトイレは男女で分かれていません。

ふたつ目は養子に関すること。友達の一人にスウェーデン人だが見た目がアジアンの子がいて、その子に「ご両親はどこの人なの?」と聞くと、「スウェーデンだよ」という答えが返って来ました。私の頭の上にはてなマークが見えたのか彼は「韓国から養子できたんだ」と付け加えてくれました。「わぁー!やっちゃったー!」と頭の中で叫びました。海外への養子という発想は私の中には全くなく、自分の知識不足で変な質問をしてしまったと反省しました。

 

自分では広い視野をもっていると思っていても、意識の奥底ではまだまだ偏った考えが根付いていると感じました。このような経験を通し自分の価値観が変わったとはまだ思えませんが、少なくとも自分の考えの狭さに気づけたことは大きな収穫です。環境政策への興味で決めた留学でしたが、そもそもの自分の根底にある考えを見直し、さらにそれの再構築のために努力しようと思える良い体験になりました。

 

 

 

掲載日 2024.1.29

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