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人文科学コース
日本語・日本文学プログラム
大塚 誠也
- 専門
- 日本古代文学
平安時代、特に11世紀後半の作品群(『更級日記』や『狭衣物語』等)を、相互に関連付けながら研究しています。この時代は『枕草子』や『源氏物語』の直後にあたりますが、もし皆さんがこの時代に生まれたら、どのような気持ちで作品を執筆するでしょう。「文豪」紫式部達と比較されるのを恐れて、いやいや執筆するでしょうか。それとも彼女達の起こした創作ビッグウェーブに乗じて、喜び勇んで執筆するでしょうか。作品だけでなく作者や読者も含めて文学研究を行うと、自分がその時代に生まれ変わったような錯覚をおぼえるときがあります。 |
主な授業題目と内容紹介
- 古典の文学作品と古典の評論を読み合わせる
- 『源氏物語』や『百人一首』といった有名作品を読むのに合わせ、鎌倉時代や江戸時代の人々が書いた評論に触れます。学生自身にも作品に対する評論を書いてもらいます。
- 日本古代文学基礎演習
- 『古今和歌集』の初心者向きの写本を読む訓練をします。くずし字(筆で書かれたニョロニョロの字)を読んだ上で、参考書を調べながら和歌の解釈・考察を行います。
- 日本文学概論Ⅱ
- 古典作品の本文と、それを映像化した現代作品を比較検討します。古典が脚色され、大衆化・商業化される過程を考察することで、かえって古典本来の特質が見えてきます。
- 日本古代中世文学史
- 奈良時代から鎌倉時代までの文学史を学びます。「『古事記』と『日本書紀』、なぜ歴史書が2つもあるのか」等の問いを考えながら、広範な知識と思考力を身につけます。
- 日本文学史論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
- 特定の対象を掘り下げ、実際的な研究状況や研究手法を学びます。年ごとに対象が変わりますが、『更級日記』の特質や、『源氏物語』の薫の特質等をテーマとします。
卒業論文題目例
・『源氏物語』第三部の皇女たち―二人の女一宮を中心として―
・『とりかへばや物語』における養育者の不在が物語に与える影響について
・『とりかへばや物語』異本研究
・『蜻蛉日記』下巻の考察―『多武峰少将物語』と遠度の人物像をめぐって―
・『讃岐典侍日記』における人間関係―堀河天皇の后妃と内侍司―
・『平中物語』研究―贈答歌によるコミュニケーションの視点から―
・和歌のなかの「猫」について―散文作品と比較して―