|
人文科学コース
日本語・日本文学プログラム
古田 龍啓
- 専門
- 日本語史
日本語の歴史、そのなかでも、室町時代から江戸時代にかけての文法を専門としています。当期には、禅僧や学者によって「抄物(しょうもの)資料」という講義録が作成されました。抄物資料には、いきいきとした話しことばが、ふんだんに現れます。その中から、興味深い言語現象をすくいあげ、日本語に生じた歴史的変化について考えています。あわせて、寺院や研究機関などに出向き、原本を手に取り、資料の素姓を明らかにする文献学的な研究にも取り組んでいます。歴史研究には、用例の解釈を積み上げる地道な作業が必要となり、根気と忍耐力が求められます。苦労する部分もありますが、個々のことばが、どのような歴史を経て現代の姿へと至ったのか、その過程を明らかにできた際には、格別な喜びがあります。なお、専門は日本語史ですが、本プログラムでは、方言や現代語を対象とした卒業論文を書くこともできます。あくなき探究心を携えて、ことばの仕組みを探る旅に、ともに出かけましょう。 |
主な授業題目と内容紹介
- 日本語史演習Ⅰ
- 鎌倉時代の『平家物語』と、『平家物語』を室町時代語に口語訳した『天草版平家物語』との比較を通して、古代語と近代語との違いを分析します。
- 日本語史演習Ⅱ
- 室町時代を中心に、当時の学者によって作成された講義録「抄物資料」を読解し、文献資料を適切に取り扱う手段を学び、言語的観点から考察を行います。
- 日本語学概論Ⅰ・Ⅱ
- 日本語を研究対象に据え、その仕組みを科学的に研究する日本語学の手法を学びます。
- 日本語史Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
- 身近な言語現象を歴史変化という観点から捉えられるように、日本語史に関する概念や資料の特徴を理解し、用例を収集・分析するためのノウハウを身につけます。
卒業論文題目例
・副詞「なるほど」の成立
・漢字「揺」と訓の結びつきの史的変化について
・高知市方言における原因・理由表現の史的変遷
・ビジネスシーンで用いられる新語「解像度」の受容と展開について